昨年、朝霞で誘拐された女子中学生が千葉大の学生のアパートで発見されたときもそうだった。まとめサイトでは、名無したちが賢しげに、「昼間一人のアパートから逃げ出せないはずない」「少なくとも大声を出せたはず」「どうせ駆け落ちして痴話喧嘩したんだろ」などとひどい憶測を飛ばしていた。ワイドショーでもコメンテーターが少女に疑問を呈しているのを見た。犯罪被害者のケアの専門家の女性が彼に対し、やんわりと、そしてきっぱりと、犯罪の恐怖心にとらえられているときに合理的な判断ができるはずありませんと諭した姿が脳裡に残っている。 その後、この誘拐犯が極めて卑怯なやり方で少女の心を縛っていたことが報道されると、邪推の論調はきれいさっぱり消えてしまった。あとはみんな心置きなく犯人をボロクソ言うばかり。いい気なもんである。 誘拐犯は連れ去った少女に対して「お前は父親の借金のカタに売られた。もし逃げ出せば家族に迷惑がかか