アジア人には土俵すらないとも言われる世界最先端のアートシーンで奮闘する日本人がいる。それが松山智一氏だ。ストリートカルチャーから着想を得た技法と独特の世界観の構築で、国際市場での評価を確立。ビル・ゲイツ氏やドバイの王室も作品をコレクションしている。日本でのビッグプロジェクトを控えた松山氏に、アーティストとしての立身とアートの意義について聞いた——。 どうやって現代美術作家になったのかとよく聞かれるんですが、僕はもともと美大に行ったわけでもなく、大学は経営学科で、学生をやりながらプロのスノーボーダーとして活動していました。そのスノーボードで足首に全治10カ月の大怪我をして「この職業を続けていくのは無理だな」と思ったんですね。それでどうしようとなったときに、雪上で自分を「表現」するのがスノーボードなら、別の世界で「表現」を生業にして生きたいと思ったんです。以前、スノーボードのデザインを手掛けた