文科省が国立大学に人文社会系学部や大学院の組織見直しを通知したことについて、京都大学の山極寿一総長は、「京大にとって人文社会系は重要だ」と述べ、廃止や規模縮小を求める文科省の通知を拒否した。新任総長の勇気ある発言に、強く賛意を表したい。 通知の文脈からみると、文系の中でも文学部などがターゲットにされているようだ。この際、断言しよう。京都大学は文学部なくして京都大学たりえない。極貧の浪人生活を経て京都で一人暮らしを始めた私が、「ああ、俺も大学生になったんだなあ」と感慨を覚えたのは、出町柳の喫茶『進々堂』で哲学書を読みふける学生を目にしたときであった。演劇に没頭する学生、能を舞う友人、学園祭になると哲学や宗教論争が巻き起こる環境に刺激を受けた。それらの環境の多くは、京大において少数派である文学部の学生※によってもたらされる。これこそ、理科系学生も含めた京大生、そして京都という歴史都市の資産であ
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