「あ、先輩。奇遇ですね。こんなところで何してるんですか?」 「俺はアキバ、大好きなんだよ。漫画も詳しいしな。で、おまえはどうした? 景気の悪い顔してよ。モテないぞ」 「景気、悪いんですよ。だから仕事ないんです」 「あ、そうか。じゃあ飲み行くか」 「先輩はどうせ高いバーとかでしょ。そんな気分じゃないすよ」 「北の家族、なんてどうだ? ほっけの煮付けなんか、うまいぞう」 「ほっけは煮付けにはしませんよ」 「あ、そうか。俺は九州の出だからな」 …… 「な、案外、うまいだろう?」 「俺にはいつもの味ですけどね」 「しかし、おまえの同期みんな、そんな困ってるのか。こりゃ、みぞうゆうの不景気だな」 「先輩、それ、みぞう、じゃないすか?」 「あ、そうか」 「先輩って、いくら揚げ足取っても怒らないですよね。人間できてるなあ」 「俺は前向きな人間だからな。よし、一肌脱いでやるか。……とりあえず、この金を……
![2008年11月13日(木) | 星野智幸 言ってしまえばよかったのに日記](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6f3aae2af32b9710b60a22af5455629ccca11b65/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpds.exblog.jp%2Flogo%2F1%2F200611%2F02%2F99%2Fc010419920090603010354.jpg)