NHKの朝の情報番組をきっかけとして、「産後クライシス」という言葉が話題になり、取材班が著した書籍まで売れている。 その書籍では、「産後、夫婦の愛情が急速に冷え込むこと」を産後クライシスと定義している。 そういう意味であれば、産後クライシスは今に始まったことではなく、古今東西で報告されている。 トロント大学の調査では、産後の女性では一般的に、最初の数週間にわたって、夫に対する「肯定的感情」が減少することが報告されている。 目白大学の心理学教授小野寺敦子氏は、「親になることにともなう夫婦関係の変化」という論文で、親になる前に比べて、親になって2年後、3年後では、夫婦ともに相手への「親密性」が低下することを明らかにしている まさに産後クライシスである。 また、イタリアで行われた小規模な研究では、産後の敵対的感情には母乳の分泌を促すホルモン・プロラクチンのレベルの高さが関与していることが報告され