前回は,ESが経営にとって極めて重要であるにもかかわらず,トップや経営陣がどこまで本気でESを考えているかはなはだ疑問であることを,調査結果や実例から指摘した。 さて,ES向上にどう取り組むべきか。参考になる調査や意見が,いくつかある。 まず,ESというと従業員の「待遇」や「福利厚生」の充実だという主張がある。もちろんそれは必要だが,必ずしもそれだけではないという傾聴すべき調査がある。 企業業績を左右するキーパーソンを対象とする調査結果を見ると,「現在の勤務先の選択理由」の上位3位は,以下のとおりである。 自分のもっている知識や経験を生かせるから 38.7%自分が能力を身に付けて成長でき,キャリアを積めるから 36.0%仕事にやりがいがあるから 30.4% 一方,勤務先選択理由で「福利厚生」に関するものは, 給与や手当てなど,待遇が良