ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第38回公判が、11月25日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、検察側は白橋伸雄被告に懲役2年6月、同社に罰金400万円をそれぞれ求刑した。白橋被告弁護人、ノバ社弁護人はともに無罪を主張した。白橋被告の弁護人は「ずさんな試験の責任は研究者らが負うべき」と訴えた。 2015年12月16日の初公判から、ほぼ1年となる次回12月15日に結審する見通し。判決は2017年3月16日の予定。 検察側「厳重処罰が必要」 検察側は論告で、今回の事件を「『降圧を超えた効果』があるというプロモーションを行うため、試験データを自社に有利に改ざんして、虚偽の図表等を研究者らに提供して虚偽の論文を作成させ、投稿・掲載させたという前代未聞の悪質
「国家として感染症の危機管理を直視することができず、また、残念ながら感染症疫学者の育成不足という国策の誤りのツケを払わされることになった」 新型コロナウイルス感染症への我が国の対応を、「まえがき」でこう振り返る書、『感染症疫学のためのデータ分析入門』(金芳堂)が10月、上梓された。著者は、京都大学大学院教授の西浦博氏が率いる研究室のメンバーだ。同大大学院医学研究科の社会健康医学系専攻の専門職大学院課程のコア科目「感染症疫学」の教育内容に準拠して執筆した入門書にあたる。 「感染症データとの向き合い方を根本的に変える書を目指している」と語る西浦氏に、本書上梓の狙いのほか、新型コロナをめぐる昨今の情勢についてお聞きした(2021年11月5日にインタビュー。全6回の連載。情勢を鑑み、Vol.5から連載開始)。...
【序文】 皆様よくご存じの通り大阪府での新型コロナウイルス感染症感染者数が急増しており、医療体制に大きな影響を与えております。4月20日に大阪府は緊急事態宣言の発出を政府に要請しました。私は新型コロナウイルス感染症に関しては全く専門家ではありませんが、今回がん専門病院である当院(大阪府立病院機構大阪国際がんセンター、500床)でも新型コロナウイルス感染症重症者を受け入れることになったこともあり、大阪での感染状況など含めて記事を書かせていただきました。 これまで当院で積極的な受け入れを行ってこなかった理由としては、がんセンター特有の患者の易感染性と重症化のリスクのためでした。当センターは血液内科に関しては現在では西日本では最大規模の同種造血幹細胞移植施設となっており、移植以外にも化学療法に伴う免疫不全患者や、血液内科以外でも他院ではできないような大手術(頭頸部、食道、肝胆膵)後の患者が多数で
はじめに 1月21日にJournal of Clinical Medicineに掲載され、報道でも取り上げられた私たちの研究〔Anzai & Nishiura(2021)〕について、明治大学の飯田泰之さんと経済産業研究所の中田大悟さんの2人からSNSを通じて実名でコメントをいただきました(元論文は、こちら)。SNSでは科学的議論以外に飛び火しない建設的な議論をすることが難しいですし、今私は緊急事態宣言下のデータ分析で大変多忙にしています。論文の作法としても、SNSは場外戦のようになってしまいます。ただし、日本で期せずして、一定以上に報道が広がりましたのでSNSで話題になりました。このまま放置するよりも、私が詳細を広くお返事した方が、物事が正常に進むと思って以下を執筆することとしました。 最初に申し上げますが、今回の私たちが発表した(疫学研究領域ではエビデンスレベルが低いと言われる)記述疫学
がんの患者団体である一般社団法人全国がん患者団体連合会が12月30日、緊急オンラインディスカッション「コロナ下の日本のがん診療・米国のがん診療」を開催し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、がん専門病院でもコロナ病院を設けるなど厳しい対応を迫られているほか、医療者が精神的に追い込まれている実態などを話し合った。 がん研有明病院(東京都江東区、686床)は日本のトップクラスのがん専門病院だが、12月24日から1病棟40人の患者を他病棟にうつして、COVID-19患者の受け入れを始めた。同病院副院長・乳腺センター長・感染症科部長の大野真司氏は、現時点ではがん診療を制限していないものの、COVID-19対応にスタッフを充てたことから、がん診療の担当部署の負担も増したとし、今後さらに感染拡大が進んだ場合の影響を懸念した。「もし欧米並みの感染拡大が起きたら、今でも大変なのにいっ
政府の新型コロナウイルス対策感染症分科会は8月24日、現在、指定感染症として「2類相当」の措置などが取られている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置づけについて論点を整理すると決定した(『COVID-19「2類相当措置」の是非検討へ、分科会』参照)。現状の措置で感じている苦労や見直しの必要性について、m3.com意識調査で医療従事者に尋ねたところ、7割弱の医師が「2類相当措置の見直しは必要」と考えていることが分かった。 Q.2類相当などの措置が取られている現在の運用を見直す必要があると思いますか。 医師の66.7%が「見直すべきだ」と回答し、「見直す必要はない」の15.8%を大きく上回った。この傾向は、その他の職種でも大きくは変わらなかった。 Q.見直す必要があると考える項目を全て選んでください。【複数選択可】 医師の回答では、「無症状感染者の入院措置(自宅療養等含む)」が5
厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの第14回(11月19日)会議で、資料3(参考資料)として、内閣官房・内閣府が作成した資料(題:「航空旅客数と感染者数の増加には統計的な因果関係は確認できない」)が公開された(資料は、厚労省のホームページ)。 この参考資料は、以下に記すようにアドバイザリーボード会議では明示的に出すべきでないという議論があったものである。会議資料として公開されたのは事実であるが、まるでこの資料をアドバイザリーボードが認めたと捉えられることは同組織の信頼あるいは科学的な分析能力を毀損しかねないものであると認識している。そこで、私自身が疫学専門家の一人として、GoToトラベルと感染の間の因果関係についてどう考えているのかを整理しつつ以下に説明したい。 【因果関係の分類】 そもそもGoToトラベルキャンペーンと感染の拡大の間の因果関係はいくつかに分類して
日本精神科病院協会会長の山崎学氏は、2月19日の四病院団体協議会の定例記者会見で、同協会がクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員乗客対応目的のDPAT(災害派遣精神医療チーム)の派遣を、場合によっては20日から停止すると表明した。山崎氏は「感染制御の専門家チームが今日(19日)撤退すると聞いた。感染防御の専門家がいなくなれば、危機的な状況になる可能性がある。厚労省に次の専門家チームの派遣を申し入れたが、次の派遣がない限り、DPATは手を引く」と説明(編集部注:2月20日、日精協に確認したところ、「厚労省によると、感染症の専門家が派遣されるとのことだったので、DPATの派遣は継続する」との回答)。 日本環境感染学会は、2月10日に予備調査を実施、11日から14日まで船内で活動、その後、19日までは船外での活動を続けていた(『クルーズ船調査の医師「新型コロナ対応後は自己検疫を」』を参照)
公立福生病院(東京都福生市)の人工透析治療を巡る問題でのマスコミ報道が止まらない。多くのマスコミの論調はこうだ。 「透析を中止すれば死に至るのが分かっているのに、透析の中止の選択肢を提示して患者は死亡した。そもそも医師は患者を死に至らしめる選択肢を提示していいのか」 医師が透析の中止を選択肢と提示することはいけないことなのか。そもそもこの出発点のボタンが掛け違っている。私が理事長を務める医療法人ゆうの森(愛媛県松山市)は、在宅医療を主体にする医療機関を運営しており、法人全体の看取りは年間約200人に上る。私自身、透析中止の選択肢を提示した経験が何度もある立場から、一言申し上げたい。 まずは、現在の日本の人工透析について再確認しておこう。人工透析患者の数は、年々増加し、2016年には全国で32万9609人に上る(日本透析医学会ホームページによる)。 透析に至る原因は、糖尿病性腎症が最も多く、
第116回日本外科学会定期学術集会(大阪市)の4月14日の特別企画「外科医の待遇―明るい未来のために―」で、元東北薬科大学病院長の田林晄一氏が基調講演で「地域医療構想や新専門医制度においては、外科医や施設の数のコントロールと集約化が必要だ」と指摘した。 講演した元東北薬科大学病院長の田林晄一氏(左)。 同企画は、福岡和白病院院長の富永隆治氏が司会を務め、冒頭で「若手の外科学会への参入が少ない。その理由の一つが、外科医の待遇が十分ではないこと。手術に関する評価はまだ低く、手術の診療報酬が上がって病院の収入が増えても、外科医の待遇改善まで行っていない。今後も(待遇改善を)主張し続けないといけない」とあいさつした。 基調講演で田林氏は、日本の高い医療レベルは、勤務医や病院職員の献身的な働きなどで維持されてきたものの、努力も限界に達しつつあると指摘。少子高齢化や高度化する医療技術、業務量の増加に対
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