金融経済レポート No.44 (社)日本リサーチ総合研究所 1 資金余剰主体となる企業 – 貯蓄超過が続く企業部門 『国民経済計算』によると、企業部門(非金融法人)の貯蓄投資バランスは 90 年代後半に貯蓄超過に転 じて以降、10 年以上にわたって資金余剰主体の状態が続いている(図表 1)。貯蓄超過の背景として、バブ ル期に積み上げた過剰債務の圧縮というバランスシート調整が指摘される。90 年代後半以降、企業の負債 比率は急速に低下しており、負債圧縮に向けた努力の跡が窺えるが、2000 年代半ば以降はほぼ横ばい状態 となっている(図表 2)。企業のバランスシート調整は 2000 年代半ばでほぼ終了しており、その後の貯蓄 超過は明らかに「投資不足」の結果である。 – 盛り上がらない国内投資 『法人企業統計』から設備投資の状況みると、08 年のリーマンショック以降、落ち込んだ状態が続いて