弁護士の川人と申します。私は30年以上にわたり過労死の問題に取り組んでまいりました。また、電通の女性社員・高橋まつりさんのご遺族の代理人を現在勤めております。 本日はこれらの経験に基づき長時間労働の規制について意見を述べたいと思います。 わが国の長時間労働は二つの方法、手段によって発生していると思います。一つは非合法な労働時間隠しによってであります。もう一つは、36協定などによる合法的な手段によってであります。 で、長時間労働を規制するためにはこの二つの問題に対する対策が必要であると考えます。 まず、はじめに長時間労働の隠ぺいと言いますか、労働時間を隠すという問題について述べたいと思いますが、ほとんどの過労死の事案において実際の労働時間というのは、名目上の労働時間、会社が公認している労働時間と異なっているわけであります。 高橋まつりさんの事件に関して言えば、会社は会社公認の残業時間としては