辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。 「みすず飴(あめ)」という長野県の銘菓をご存じの方も大勢いらっしゃると思う。リンゴ、ブドウ、アンズ、ウメなどの果汁液を水飴と寒天で固めた、見た目もきれいなゼリーである。「みすず」は、「みすずかる信濃(しなの)」によるネーミングだという。 だが、名前の由来になったという「みすずかる」は、存在しなかったのに存在するという不思議なことばだということをご存じだろうか。 「みすずかる」の「み」は接頭語、「すず」は篠竹(すずたけ)で、その「スズタケを刈る」という意味なのだが、漢字で書くと「御篶刈」となる。スズタケは日本特産の主に山地の森林の下草として生える竹である。 「みすずかる」は、もともとは『万葉集』に出てくる語なのだが、隣接する短歌二首(巻二・九六、九七)にしか見
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