記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。 本稿は映画「シン・ゴジラ」に関するネタバレである。作中に出てきたゴジラ細胞の細胞生物学的な機能とストーリー展開への絡みを、想像力で補完しながら説明してみたいと思う。 (2016/09/14 劇場パンフレットからの引用を追記) 序論空想科学映画としての「シン・ゴジラ」は、類するジャンルの作品同様、様々な科学上のテクニカルタームをちりばめて構成されている。作中においてゴジラは体内に原子炉様の器官を備えて核分裂をエネルギー源とする他、スーパーコンピュータや血液凝固剤、変態あるいは進化、ゲノムサイズや細胞膜、共生細菌としての極限環境微生物の存在など、比較的最近になってとりわけ一般の視聴者にもクローズアップされている科学上のトピックが多く、各々に対するなじみの深さに応じて、かつニヤニヤし、