近代建築の構成要素である、鉄、コンクリート、ガラスのうち、コンクリートだけが圧倒的な迫力で迫ってくる建築だ。 丹下健三は1950年代、広島平和記念資料館(1952)、清水市庁舎(1954)、倉吉市庁舎(1957)、東京都庁舎(1957)、香川県庁舎(1958)など、桂離宮に着想を得た、繊細な和風を加味したデザインを押し進め、世界の注目を集めるとともに、全国の庁舎建築のモデルとされてきた。 しかし、突如、倉敷に従来とはまるでちがう重量感のみなぎったこの作品を送り出した。 プレキャスト・コンクリートの部材を組み合わせ、太い現場打ちの柱梁の上に載せた構造だと言われている。 なんとなく分かるような気がするが、実はどれがプレキャストで、どれが現場打ちかは判然としない。 梁の先端を飛び出させるデザインは、構造上必要な要素のように見えて実はそうではなく、あくまでも、梁の存在を感じさせるための見せかけのデ