リアルタイムPCRには特有の用語が頻出しますが、果たしてその内容を正しく理解できているでしょうか?今回は、難解でわかりにくいリアルタイムPCR解析に関する主な用語の定義をご紹介します。 ベースライン リアルタイムPCRにおけるベースラインとは、蛍光シグナルにほとんど変動がない、PCRの初期サイクル(通常3~15 サイクル)におけるシグナルレベルのことを指します。このベースラインの低シグナルは、反応のバックグラウンドあるいは「ノイズ」と同一であるとみなすことができます(図1)。リアルタイムPCRにおけるベースラインは、増幅曲線の手動解析または自動解析により、各反応毎に実験データを基に設定されます。下記に示すサイクル値(Ct)を正確に決定するためには、ベースラインを注意深く設定することが必要です。ベースラインの決定には、初期サイクルに観察されるバックグラウンドを排除するために十分なサイクル数を