この本が最初に世に出たのは1965年のことである。すでに40年経っているわけだが、文庫化されてすぐに再版されているところをみると関東軍についての基本文献として評価されているのではないかとも考えられる。著者は、防衛庁や外務省関係の書類を丹念に読み込みながら「なぜ関東軍は暴走したのか」を実証しようとしている。内容に入る前に、私は関東軍という名称についてごくごく初歩的な疑問を持っていた。「なぜ、満州なのに関東なの?」もしかして、この軍隊は関東出身者が多いのか。そう思ってさえいた。が、この本の冒頭でその疑問は解決する。答えは、山海関という都市より東にあるからということである。日本の関東が箱根や碓氷などの関所より東に位置することからそう呼ばれるのと一緒である。どちらも「辺境の地」としての関東という意味なのであろう。意外だったのは、この地名を命名したのはロシアだったということである。日露戦争時に、遼東
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