田中あすかとは何者だったのか 「田中あすか」というキャラクターは、『響け! ユーフォニアム』TVシリーズ第2期を貫く太い「心棒」であった。結局のところ、田中あすかは黄前久美子という、未曾有に強力な主人公の格さえ「食って」しまったという風情まであった。 田中あすかが僕の心臓を掴んだのは、1期中盤、何もない部屋で楽譜をにらみつけている田中あすかのカットだ。あすかのメガネのレンズには整然とした音符が映り込み、光線のような視線だけが場を支配している。 あの部屋は、ほとんどあすかの心象風景だ。 なんなんだ、この女は。そう思った。 もうひとつ、印象的なシーンがある。 1期ラスト、予選会場のステージの上で、田中あすかの鏡のようなレンズの向こう側が、久美子にだけ、ひらりと覗かせるタイミングだ。あすかは力なさげに笑うと、どこか別の場所を見ているような、不思議な顔つきをするシーンだ。僕は当時「田中あすかは、自