〔連載〕続 アメリカ医療の光と影 第19回 Conflict of Interest(利害の抵触)(5) 組織レベルでの利害の抵触 (Institutional conflict of interest) 李 啓充 医師/作家(在ボストン) (2536号よりつづく) 医学研究に厳しいルールを設ける動き-社会的信頼失墜を危惧 遺伝子治療の臨床治験を巡る問題を例として,これまで4回に渡って,医学研究における「利害の抵触(conflict of interest)」の問題について考えてきた。ペンシルバニア大学での遺伝子治療治験の被験者,ジェシー・ジェルシンガー少年の死亡事件がきっかけとなって,米国では,遺伝子治療研究にとどまらず,医学研究一般における「利害の抵触」について厳しいルールを設ける動きが高まっている。特に,被験者(患者)の生命・健康に重大な影響を及ぼしうる臨床研究においては,基礎研究よ