サリドマイドをご存知の方は多いと思います。 私はタイムリーにその時代を生きていたわけではないのですが、ものの資料によれば「1950年代後半から1960年代前半に、胎児奇形という重大な薬害事件を引き起こし、一度は医療現場から姿を消したが、事件から40年が過ぎ、人々からその記憶が風化しようとしたところに、新たな薬効が注目され、医療現場に再び登場してきた」という経緯の薬剤です。 新たな薬効とは、まさにテーマにあげた「抗腫瘍効果」であり、実際に多発性骨髄腫においては国内でも2008年10月に認可され、現在は標準治療の一つとなっています。 サリドマイドの多発性骨髄腫に対する抗腫瘍効果のメカニズムとしては、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)や血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を介した血管新生を抑制する「抗血管新生作用」、腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン(IL-6, IL-12)などの合成を