上空を飛び交うヘリコプターや室内のテレビが、人々の行動を常に見張っている。独裁体制にとって危険な人物と決めつけられると、「思考警察」に逮捕され、存在自体が抹消される。 ▼英国の作家、ジョージ・オーウェルが1949年に発表した近未来小説『一九八四年』が、再びブームとなっている。オーウェルの頭の中には、スターリン体制下のソ連があった。もっとも今、国民を徹底的に監視する社会が実現しているのは、中国である。 ▼昨日の石平さんのコラム「チャイナ ウオッチ」を読んで、背筋が寒くなった。今月10日に制定された規則は、一般市民によるスパイ行為の通報を奨励しているという。共産党政権が、すでに監視システムを使って全国民を見張っているのは、周知の事実である。 ▼驚いたことに、『一九八四年』をもって現在の日本に警鐘を鳴らす人たちがいる。政府が今国会での成立を目指す「テロ等準備罪」の法案は、オーウェルが描いたような