ライブドアへの強制捜査から3年がたつが、あの事件は何だったのだろうか。容疑の核心だった粉飾決算は形式的な違反で、実刑を科すような重罪とは思えない。公判の途中では宮内元副社長の横領容疑が出てきたが、検察はこれを起訴しなかった。宮内氏が主導した犯罪を、彼がみずからの罪を軽くするために検察に協力して社長になすりつけたのだ、という著者の主張はもっともだ。 エンロン事件でも、主犯はCFOのファストウだったのに、検察はCEOだったレイを起訴するために、ファストウの罪を軽くして供述を引き出した。このように経済犯罪を刑事事件で裁くことは、さまざまなバイアスが入るばかりでなく、再発防止というもっとも重要な目的にも役に立たない。著者もいうように、ほとんどの場合、社長は不正経理の実態なんか知らないからだ。 私の印象では、ライブドアや村上ファンドが活躍した2000年代前半は、アメリカの1980年代に似ていると
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