出版状況クロニクル44(2011年12月1日〜12月31日) 今回はリードとして、少し長くなってしまうが、以下の一文を掲載する。本クロニクルの読者であれば、これがその要約であるとただちにわかるだろう。ただこれは『東京新聞(中日新聞)』(12/11)の「出版この一年」への寄稿なので、まだ目にふれていない読者も多いと考えられるからだ。 日本の出版業界はかつてない深刻な危機の中にある。あらためていうまでもないが、出版業界はそれぞれ生産、流通、販売を担う出版社、取次、書店によって形成されている。しかし出版というと、どうしても出版社と本に焦点が当てられ、これまで流通や販売の視点からの総括はほとんどなされてこなかった。 だが今年は東日本大震災による被災書店の問題にふれずに出版業界に関して語れないし、出版そのものが大震災前/大震災後を経て、新たに問われる状況に入っていると思われるからだ。 まず被災書店状