吉川英治文学新人賞に輝いた冲方丁の話題作『天地明察』が、今度は第7回本屋大賞を受賞(この二冠を制覇したのは、恩田陸『夜のピクニック』、佐藤多佳子 『一瞬の風になれ』に続いて3作目)。さらにこの秋には『マルドゥック・スクランブル』が劇場アニメ化予定と、2010年は冲方丁イヤーになりそうだ。 といっても、吉川新人賞の贈賞式で、「この読みにくいペンネームはなんとかならないのか」と先輩作家からさんざんネタにされていたくらいで、まだ一般に名前が浸透しているとはいいがたい。たしかに、「冲方丁(うぶかた・とう)」は相当な難読筆名だが、そもそも彼はどういう作家なのか? 冲方丁は、1977年2月、岐阜県生まれの33歳。18歳で書いた処女長編『黒い季節』が第1回スニーカー大賞〈金賞〉を受賞し、1996年、早稲田大学1年生のとき、華々しくデビュー。しかし、あまりに型破りの才能だったため、ライトノベルの枠に収まら