愛知県名古屋市中区の市営地下鉄伏見駅に直結した地下街に「喫茶ドリーム」の看板が掲げられている。看板の文字はこう続く。「脳卒中障害者が働く喫茶店」 ドアのない幅広い入り口の奥にはカウンターがある。店内で働いているのは、脳出血や脳梗塞(こうそく)など「脳卒中」の後遺症がある人たちだ。運動障害や失語症、記憶障害のある30代から70代までの約30人が、交代で接客、調理や、メニューの考案、売上金の集計などを担当している。 コーヒー豆の容器は、ボタンを押すとふたが開く。片手で開けることができるつくりだ。片手では難しい作業はふたりで協力。ひとりがパンを抑え、もうひとりがバターを塗る。 物の場所が思い出せず作業に困ることがある記憶障害の人のために、引き出しにはイラストつきの貼り紙を用意。店内では、ゆっくり会話することを心がける。言葉が出にくい失語症の人が話しやすいようにという配慮だ。 森山禮(れい)子さん