統合失調症はその原因や病気のしくみも単一のものではないと考えられています。 しかし、それでも統合失調症は一般的な意味では「脳の病気」といえるでしょう。 現在では、統合失調症は母親の誤った育て方によって起こるものであるとか、 大きなストレスのあまり正気を失ってしまったことが原因であると考える医療従事者はいません。 それでは統合失調症はどういう意味で「脳の病気」なのでしょうか。 これをお話しする前に、まず脳のしくみと働きを簡単に説明しておきます。 はじめにヒトの脳のかたちを調べてみましょう。 脳はおおきく、大脳・間脳・中脳・小脳・延髄に分けられます(図1)。 延髄・橋・中脳をまとめて脳幹といいます。ヒトの基本的な生命活動を担っている部位です。 延髄と橋は、脊髄からの知覚の情報や、小脳や大脳からの運動の情報を中継しています。 中脳は、視覚や聴覚の情報が脳に伝わっていくときの中継と調整の役を担って