昨年の夏、東京大学は研究不正の疑義があるという匿名の告発書を2回にわたって受けた。医学部の5人の教授と分子細胞生物学研究所(以下、分生研)の1人の教授が主宰する合わせて6つの研究室から出た計22本の論文に載っている図版(グラフや写真)に、不自然な点があるというのだ。 この告発を受け、東大の科学研究行動規範委員会は外部有識者を含む2つの部局内調査班(医学部、分生研)を立ち上げて調査を行っていた。調査班の調査内容、およびその内容を受けて委員会が下した裁定に関する記者会見が8月1日に行われた。 分生研調査班の結果では、論文5本から16項目を捏造または改ざんと認定した。東京大学から分生研の調査報告(データ解析結果)が公開されているので、ここではこれ以上のことは触れない。心身ともに負担の大きな検証作業だったろうと推察する。調査班の先生方には、頭の下がる思いである。 ここで取り上げたいのは医学部の調査