文系の私にとって、理系科目はいつだっていけ好かない存在だった。マイナス×マイナスのせいで、モルのせいで、サインコサインタンジェントのせいで、恨みつらみを挙げればキリがない。けれど、私ももう良い大人である。そろそろ理系科目と和解したい。 そこで、東京・四谷にある「INCUBATOR(科学を楽しむサイエンスBar)」に単身乗り込むことにした。「理系バー」とも呼ばれるこの店は、お皿はシャーレ、グラスはビーカー、アルコールランプでおつまみのイカなどをあぶって食べる仕組みになっている。2年前のオープン以来、理系のお客さん以上に、文系のお客さんに親しまれているのだという。この店なら私も、理系のことを愛せるようになるはず。 入口に飾られている理科の実験器具を横目に、店の中へ。棚には普通のグラスの中に、当たり前のような顔をしてビーカーが並んでいる。 入口の近くに置かれている実験器具 グラスやビーカーが並ぶ