日本における「住民中心の地域包括ケア」の実践例を探る:幸手モデルについて 全日本民医連(min-i-ren) 副会長 野田浩夫(Noda Hiroo) はじめに 前回に続いて地域包括ケアがテーマであるので、最初に前回のおさらいをしておきたい。 地域包括ケアとはもっとも簡単に表現すれば「医療と介護・福祉の一体化」ということなのだが、日本には政府側VS国民側といってもいいような対立する二つの地域包括ケアがある。 政府側の地域包括ケアはまさに現政権の新自由主義政策の柱になっている。世界に先駆ける超高齢化のなかで国の費用負担が拡大する一方の介護保険(2000年創設)を解体に近いまで縮小することと、医療と介護を一体化して新たな市場を開き営利の場にすることである。担い手は日米の大資本である。 これに対して私たち国民側が思い描く地域包括ケアは健康権の実現を目標にして生活モデルに沿って医療と介護の一体化を