セルフパブリッシング(自己出版)が注目されている。出版社に金を払って本を作ってもらう自費出版とは異なり、個人がいきなり電子書籍として作品を出す方法のことだが、そうして出された電子書籍が、改めて紙の本として出版される現象が起きている。 この手順で紙の本にもなった十市(とおちの)社(やしろ)さん(36)の小説『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』を手がかりに、セルフパブリッシングの可能性を探った。 セルフパブリッシングは現在、インターネット通販大手のアマゾンや楽天などが扱い、中でも人気なのが、アマゾンが2012年10月から始めたKDP(Kindle Direct Publishing)だ。作品に、タイトルや著者名、自分で決めた価格といった情報を付けてアップし、アマゾンの審査(公序良俗に反しないかなど)を通れば、プロ作家の電子書籍同様に販売される。 新人賞を受賞しなくとも本を出し、売れる時代――。