こんにちは。スマートニュースの高橋力矢です。弊社も含む多くの企業の内側では、短期の利得を重視した施策と、将来に大きな利益を生み出すと考えられる施策との間でどのように資源を割り振るべきか議論が発生します。判断基準が曖昧になりがちなこの短期・長期視点について、数理科学からの観点を紹介したいと思います。 強化学習に代表される賢い人工知能の一つの特徴は、長期最適な意思決定ができることとされており、その背後には将来の利益を一貫した割引率で割り引く指数割引 (exponential discounting) があります。指数割引は会計や株式投資において企業価値を見積もるディスカウント・キャッシュフロー (DCF) 法にも採用されます。例えばお金であれば、今の金利が2%だった時、100ドルを銀行に預けると一年後に102ドルになります。一年後に手に入る100ドルだったら100 / 1.02 = 98.03