吐血は、とてもインパクトの強い症状です。テレビドラマや映画でも重要な役柄の人が血を吐くシーンをしばしば目にします。吐血とは、そんなに重度の症状なのでしょうか?危険な吐血と、そうでない吐血とは、どのようなものなのでしょうか? ◆「血を吐く」:吐血と喀血(かっけつ)の違い 口から入った食べ物や空気が向かう先には胃と肺があります。それと同じように口から出てくる血液には、肺からのものと胃からのものがあります。この二者は似て非なるもので、呼吸器(肺や気管支)からの出血を「喀血」、消化器(食道や胃、十二指腸)からの出血を「吐血」と言います。 昔の映画などに見られる、血を吐くことで暗に死期が迫っていることを示す演出は、おそらく肺結核が原因の喀血に由来しているのでしょう。結核は戦前から昭和にかけて今よりも多くの患者さんがいましたし、当時は効果的な薬も限られていました。結核の診断精度が上がり抗生物質も進化し