オフィスビルや病院が停電などの緊急時に使う非常用電源は「埋蔵電力」になり得るか--。経済産業省がこんな検討に入ったことが19日、分かった。原発全基停止で深刻な電力不足に陥る事態に備え、菅直人首相から埋蔵電力の掘り起こしを指示された経産省が「苦肉の策」として調査を始めたが、非常用電源は出力が小さく発電コストも高い。騒音や排ガスなどの問題もあり、本格的な代替電源になるかどうかは不透明だ。 非常用電源は、定期的に発電する「自家発電」よりも小規模(出力1000キロワット未満)なものを指し、消防法などに基づいてビルや病院などに設置されている。自家発が全国3200カ所に計5380万キロワットの設備容量があるのに対し、非常用は全国約17万カ所に計2000万キロワット(原発20基分)あるとされる。 経産省は「7月4日現在、自家発の大部分は既に使用しており、実際に使えるのは160万キロワット」と首相に報告。