「殺された」戦死者の思い:野口 健(アルピニスト)(1) 2009年8月24日(月)15:00 テントに遺書を書きつづけていた ヒマラヤ・マナスル峰から帰国し、間もなく2カ月。早くも、あの生き死にの世界で必死に生きていた生活が恋しい。ヒマラヤにいたときのほうがはるかに厳しい環境だったのに、私にはヒマラヤでの生活のほうが、日本にいるときよりも楽なのか、肉体面は別として、少なくとも精神的にはとても健康。ヒマラヤでの生活はたしかに厳しいけれど、要はいかにその日を生き延びるか。日々を精一杯生きるだけで、じつにシンプルだ。 ヒマラヤには通信機材を持ち込んでいるので、日本の情報もそれなりに入ってくるが、タレントの誰々が公園で全裸になって逮捕されたとか、小沢代表が辞任したとか、まあハッキリいって、どうでもいいようなニュースばかりで、とくにヒマラヤなんかにいると、「日頃の情報がいかにもくだらないなぁ」