留学、そして上京 高校を卒業して1年ニートをした後、ロンドンに留学した。 生まれてこのかた家族とそりがあったことなど一度もなかった私は、早々に故郷へ見切りをつけ、石畳の道が骨身に染みる街で約1年暮らした。 逃げ出すようにやってきた場所で目標なんてあるはずもなく、とにかくお金がなかったので日本人キャバクラのウェイトレスをしてどうにか食いつないでいた。ナイトバスを乗り継いで深夜のバイトから帰宅した後はウォッカを煽って眠り、学校をサボる日も増えていった。ワインやシャンパンの抜栓は日増しに上達し、人手不足の店の経理まで任されるようになったけれど、ロンドンは寒すぎたし天気もいつも悪いし、ビザも切れそうだったので、おとなしく帰国した。 その頃には20歳になり実家へ帰ったけれど、問題は何一つ解決していなかった。つまり家族仲は険悪なままだし、私にとってそこは世界で一番居心地の悪い場所だった。 その時の所持
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