中山俊宏 慶應義塾大学総合政策学部教授 ワシントンやニューヨークを訪れてもトランプ支持者に出会うことは滅多にない。トランプ支持者たちは、データ上はその輪郭が見えてくるが、生の声を聞くことはなかなかできない。教育レベルは低く、白人、男性。経済的に最底辺ではないが、押し寄せる経済社会的な変化の潮流には明らかについていけない。しかし、こうしたデータを積み重ねていっても、なかなか彼らの姿は見えてこない。彼らは一体どこにいるのか、なにを考え、トランプにどのような思いを託しているのか。 トランプ支持者に直接触れることのないまま、ある種のステレオタイプが独り歩きをしている。取り残された白人たちの追い詰められた末の抵抗運動。「オバマ時代」の変化に強い違和感を抱いた人々の反乱。政治不信が極限まですすんだ結果のむき出しの破壊衝動。どうやら、アメリカの現状に抗する負の衝動が、「トランプ・トレイン」とも呼ばれるト