もう何年も前のお話。 3年付き合ってた彼女が居て、 「そろそろご両親を紹介してよ」 って言われてて、俺は自分の両親との関係が微妙だったので渋ってた。 でも彼女に真剣な交際じゃないって疑われて、仕方ないので紹介する事になった。 当日、夕方ぐらいに自宅に彼女を連れて行くと、親父はまだ仕事から帰っていなくて、おふくろだけいた。 俺とおふくろは仲が尋常じゃなく悪い。 それというのも、おふくろはどうやら女の子が欲しかったらしくて、事あるごとに 「可愛くない。お前なんか欲しくなかった」 「うわあ、男って臭い」 「頭悪いのは男だからかな?」 みたいなこと言われて、衣食住は提供されていたが、愛情は感じたことがなかった。 おふくろは不妊治療でやっと出来た子供が俺で、当然俺の他に子供はいない。 期待が裏切られたという気持ちなのだろうか、俺はずっと裏切り者という形で邪険にされていた。