特殊な家庭環境で育った高校生・佐田誠は、不登校気味。休んでいるうちに決められた修学旅行の班は、陰キャと陽キャが入り混じる意外なメンバー構成だった。誠は自由行動の日に班を抜けて、生き別れになった叔父に会いに行こうとする。すると、他のメンバーが一緒に行くと言い出して……。 どの選評も読んでいません ――「それは誠」は芥川賞候補作。これが4度目のノミネートで惜しくも受賞を逃しましたが、ご自身は芥川賞についてどんな思いがありますか。 それが、ほんとになんの思いもないんですよね。そもそも高校生の時、ブログを始めてからずっと、書くということは一人の行為で、反応を気にしたことがなかったんです。デビューしても変わらず、書評も選評も自分のことが書いてあるからといって読もうという気が起きるわけもなく。だから、実はこれまで受けた賞の選評もほぼ読んでいなくって。授賞式で選考委員の方に「選評にも書いたけど」と話しか