★森博嗣は私が世界でいちばん好きな小説家ですが、そんな森さんが「自由というものは何か」「自由になるためにはどうすればいいのか」を書いた本を出されました。 「自由」ということについて、多くの人は(自分も含め)わかったつもりになっている。これを読み始めたとき、ぞくっとして、そのあとは息苦しくなったり、泣けてきたりした。それは自分の苦しかったことの多くが「不自由」に根ざしているものだったと気づいたからであり、なんとなく感じていたことが言葉になっていたからで、「自由」を言葉にしたシンプルさが凄い本、だと思った。自分がなぜ森博嗣を好きなのか、そのことをうまく説明できたことは一度もないが、自分の中では「なぜ好きなのか」が、この本を読んですとんと腑に落ちたような感じがあった。 私にとって、森博嗣という人は遠い人である。自分と似ているから大好きとか、小説にものすごく感情移入できるから好き、というのではない