普段は映画を取り扱う当連載ですが、今回は番外編。現在放送中の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)を扱いたいと思います。 『逃げ恥』は、さまざまな方向から論じられる作品です。それだけに、この連載でも何か書きたいと思ったものの、どの方面から書けばよいのか、非常に悩んでしまいました。どうしたものかと何度も見ているうちに、主人公のみくりのキャラクターが、これまでのラブ・コメディのヒロインと正反対であることが、この物語に共感するポイントではないかと思えるようになりました。 みくりが、小賢しくて分析屋で、思ったことは言ってしまわないと気が済まなくて、でも恋愛はそれなりにしてきた人物であるのに対して、平匡は、頭もよくて、常識もあるのに、35年間、一度も恋愛したことのない人物です。家事代行の延長で契約結婚をしたこのカップルですが、一緒に暮らすうちに、愛情が芽生え始めます。みくりは恋愛経験もあるため、自分の