核軍縮義務を果たしていないとして、南太平洋の島国マーシャル諸島共和国が核保有国を訴えている裁判で、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)は5日、裁判所には訴えを審理する権限がないと判断した。裁判はこれで終わる。 マーシャル諸島が2014年4月、核保有国の米ロ英仏中、潜在的な核保有国のイスラエルなど計9カ国を相手どって提訴し、核不拡散条約(NPT)6条などに定められた核軍縮の誠実な交渉義務を果たしていない、と主張した。 ICJに自国への訴えがあれば自動的に応じると宣言していた英国、インド、パキスタンのみが応じたが、ICJは、核軍縮をめぐる多国間交渉でマーシャル諸島が出した声明が特定の国を対象としたものではなかったなどの理由で、英国などとの間で「紛争は存在しない」と判断した。 法廷で傍聴した被爆者の坂下紀子さん(73)は「ICJの決定は残念だが、ますます核兵器を禁止する条約が必要だと感じた