社会が大きく変化していくなかで、性的マイノリティをめぐる言説もまた大きく揺れ動く昨今。この記事では、「おっさん好きのゲイ」という立場からこれからの「父性」「男性性」を考える一冊『ニュー・ダッド―あたらしい時代のあたらしいおっさん』に収録された文章を公開します。ゲイカップルが「家族」となり、「父親」となることのリアリティ、そして可能性を語ります。 日本では同性カップルが子どもを持つための制度が整備されていない 僕は自分の人生においてほぼほぼ諦めていることがあって、それは文字通りの意味での「ダッド」……「父」になることだ。なぜなら、僕はゲイだから。いや、ヘテロ男性だって大勢、経済的な問題から「父」になるのを諦めているような時代だけれど、やっぱりそこは、ゲイであることも別のレイヤーとして絡んでくる。 もちろん海外においては、同性カップルが子どもを迎えられる制度や法律があることは知っている。けれど