理科一類から文系研究者へ :まったく予想していなかったキャリア 伊藤 秀樹(東京学芸大学教育学部講師) みなさんにとって、キャリア形成とはどのようなイメージだろうか。何十年後かに到達すべき大きな目標があって、それに向けて小さな目標を1つずつクリアしていくイメージだろうか。でも、それとは違った形でのキャリア形成も、あってもよいのではないだろうか。 少し私のキャリア形成の話をしたい。今でこそ教育社会学という分野を専門とする文系研究者をしているが、高校生のときにはまさか自分が研究者(しかも文系の!)になるだなんて、思いもしなかった。 地元では神童扱いだったが、高校卒業まで「勉強が楽しい」と思ったことは一度もない。勉強だけが人に負けない唯一の取り柄だったから、やっていただけのことだった。高校時代、バスケットボールが恋人だった(でもベンチだった)私は、進路についてもろくに考えていなくて、数学と生物と