主人公は女子高生あたりの女の子、香緒里で弟と妙に仲が良くて一緒にお布団で寝たりする。姉萌え小説でもある。父親は浮気を繰り返す最低男で弟はビッチに振り回され自分は自分で人間の精神に興味を持ち始める。──冬木糸一が自分で書いたあらすじ 舞城王太郎著。大変おもしろかった。最後の、前向きな内容に、ほろっと泣いた。獣の樹よりは、こちらを先に読むべきだったかな。テーマの転換点のようなものが、こっちには感じられた。具体的に言うと、それはつまり非常に単純なことながら「人間とは何か」ということなのだと思う。 人間とは何か、とだけ書いても意味が分からないけど、要するに身の回りに存在する全ての一般人たちをよく観察してみるとその中にはとても複雑な行動様式、思考様式が詰まっていて、とてもじゃないけれどひと言でその属性を表現することは不可能なわけです。不可能だけれども、その不可能には挑戦したくなる。一番身近に存在する