2巻が発売されたときにすでに読んでいたのですが、妻と娘(高校生)がワケわからんっ、解説しろとせっつくので書くことにしました。たしかに結末で迷う読者もいるでしょう。わざとわかりにくく描いてるみたいだしなあ。 ●中村明日美子『ウツボラ』1・2巻(2010/2012年太田出版、各680円+税、amazon) 全二巻で完結のミステリ。冒頭の謎はすごく魅力的です。 若い女性がビルの屋上から転落死する。顔のつぶれた死体となった彼女の名は「藤乃朱(あき)」。ケータイにはなぜか二人の履歴しか残っていなかった。ひとりは双子の妹「三木桜(さくら)」、もうひとりは作家の溝呂木(みぞろぎ)だった。 警察に呼び出された溝呂木は、藤乃朱の書いた「ウツボラ」というタイトルの小説を盗作したという秘密を抱えていた。溝呂木は三木桜が藤乃朱とまるきり同じ容姿をしていることに驚く。さらに三木桜は、溝呂木と藤乃朱の間の秘密を知って