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ブックマーク / amberfeb.hatenablog.com (6)

  • 運命を知る/選ぶこと――『龍の歯医者』感想 - 宇宙、日本、練馬

    Amazonプライムビデオでようやく『龍の歯医者』前後編をみまして、めちゃくちゃよかったです、はい。以下感想。 彼の国には龍が住まうという。古の契約により人と共に在るその龍は、現代――少なくとも銃や艦船やらの近代兵器が用いられるほどには「現代」――においても、戦争のゆくえを左右する力を持っていた。その龍の唯一の弱点は歯。その歯を虫歯菌から守る異能の集団が、龍の歯医者。日々虫歯菌と戦う彼らだったが、そんななか龍の歯から敵軍の軍服に身を纏う少年が出現する。凶事の前兆ともいわれるその出来事だったが、彼らの日常は続く。何故なら彼らは、すでに自らの究極の運命を受け入れてそこにいるのだから。 『日アニメ(ーター)見市』短編版で龍の歯医者になった少女野ノ子と龍の歯から出現した少年ベルの二人を主人公に据えたこのTV版(と呼ぶのが適当だろうか)『龍の歯医者』は、これがテレビアニメかよと驚愕するゴージャス

    運命を知る/選ぶこと――『龍の歯医者』感想 - 宇宙、日本、練馬
  • 「あなたが決めろ」と悪魔は笑う――『響け!ユーフォニアム』と選択の意味 - 宇宙、日本、練馬

    『響け!ユーフォニアム』・『響け!ユーフォニアム2』は、何かを決めるとは、選ぶとはいかなることなのか、それはどのような意味を持つのか、そのような問いを提起した。その問いに対する回答の輪郭を粗描することが、さしあたってのこの文章の目的である。 「なんとなく」決めること 私たちが何事かを選ぶとき、そこにどのような機制をが働いているのか。それをおおざっぱに整理するならば、「なんとなく」選ぶか、「決然と」選ぶか、という両極を想定することができるだろう。私たちはたぶん、事を選ぶとき、何か身近なものを買うとき、ぼんやりとテレビのチャンネルをザッピングしているとき、等々、おそらく「なんとなく」なにかを選び取っている。一方で、例えば自分の将来の進路を選ぶとき、高価な買い物をするとき、重大なことを他者に告げるとき、私たちは「なんとなく」は決めないだろう。そこに賭けられる感覚のことを決然さとここでは名指し、

    「あなたが決めろ」と悪魔は笑う――『響け!ユーフォニアム』と選択の意味 - 宇宙、日本、練馬
    mercury-c
    mercury-c 2017/04/04
    “私たちは選択をしてしまったという過去の事実自体は変えられないかもしれないが、しかし私たちは過去の選択を想起し、その意味を読み替えることはできる。”
  • ふたたび反逆の神話――『ペルソナ5』感想 - 宇宙、日本、練馬

    えー、ようやく『ペルソナ5』のエンディングをみまして、大変よかったです。久しぶりにゲームを最後までやりました。というわけで感想を書き留めておきます。ネタバレが含まれるのでその点ご留意ください。 呪いと反逆 少年。少年は故郷を追われる。なにゆえに?それは彼が正しいことを成そうとしたがゆえに。その行動が、強く大きな力の逆鱗に触れたがゆえに。少年は強く大きな力によって犯罪者の烙印を押さる。その呪いによって、少年は故郷を追われ東京に向かうが、そこでも呪いはついてまわる。強く大きな力によって押された烙印は、少年を社会からつまはじきにする。だから、少年は闘わねばならない。大なり小なりの力で、それぞれ呪いを受けた少年少女とともに。それが彼の物語である。 「トリックスター」と名指される少年を主人公にして、人の認知世界に侵入して悪党を「改心」させる「心の怪盗団」として、世に蔓延る弱者をしいたげる大人たちと戦

    ふたたび反逆の神話――『ペルソナ5』感想 - 宇宙、日本、練馬
  • フィクションが距離を突破する――『君の名は。』感想 - 宇宙、日本、練馬

    新海誠監督『君の名は。』をみました。滅茶苦茶よかった。以下感想ですが、ネタバレが含まれるのでご注意ください。 大彗星が降るという日が間近に迫る、そんなとき。岐阜の山中の集落、神職の家に生まれ育ち、東京への漠とした憧れを抱える宮水三葉は、夢の中で東京の男子高校生立花瀧になって、つかの間の東京を謳歌する。しかし、彼女が瀧になっているあいだ、瀧もまた彼女として一日を過ごしていることに気付く。週に二・三度の繰り返される入れ替わり。つつがなく一日を過ごすため、あるいは相手に問題を起こさず一日を過ごしてもらうため、互いは互いに向けて入れ替わっているときのことを書き、そしてそれを読む。そのようなやりとりが積み重なっていったある日を境に、入れ替わりはもう起きないようだ、という予感が訪れる。彼女に一目会いたい。その思いを抱えて三葉を探しに岐阜を訪れた瀧は、驚愕の事実を知ることになる。 夢の中で入れ替わる少年

    フィクションが距離を突破する――『君の名は。』感想 - 宇宙、日本、練馬
    mercury-c
    mercury-c 2016/09/13
    あー、感覚としてぼくに足りないのはこういうことなんだなあと思わせてくれる文章。
  • 「特別さ」と二つの涙 ――『響け!ユーフォニアム』感想 - 宇宙、日本、練馬

    落ち着いたらみようと思っていた『響け!ユーフォニアム』をみました。ノックアウトされた。以下感想。 「あんたは悔しくないわけ?」 中学三年、最後の大会。結果は金賞。ダメ金だけど、金。三年間がんばってきた結果としては、まずまず、いやかなりいいとこいけたんじゃないか。そんな満足感を味わう黄前久美子の隣には、膝に顔をうずめて嗚咽する、もう一人の少女、高坂麗奈。「高坂さん、泣くほどうれしかったんだ」。そんな風に彼女の胸中を推し量った黄前久美子の予想はドラスティックに裏切られる。「あんたは悔しくないわけ?」。高坂麗奈のこの言葉が、黄前久美子の物語の始まりを告げる。 そんな彼女の物語は、まずなによりも「悔しい」と思えるようになる物語であり、それは中学最後の大会、つまり物語の始まりの場所において高坂麗奈の立っていた場所に、黄前久美子も立つ、そういう物語である。それはつまり、彼女も高坂麗奈と同じく、「特別」

    「特別さ」と二つの涙 ――『響け!ユーフォニアム』感想 - 宇宙、日本、練馬
    mercury-c
    mercury-c 2016/04/24
    “そんなふうに無数のドラマをそのうちに織り込んで進む時間のことを、青春と呼んでもいい、と思う”
  • 灰色の地元、カラフルな東京―『SHIROBAKO』第8話「責めてるんじゃないからね」感想 - 宇宙、日本、練馬

    今更ながら、先日(もう「先日」でもないか…)最終回を迎えた『SHIROBAKO』を見ています。評判の良さから気になっていたのですが、「業界モノ」っていうのでなんとなく敬遠してたんですね。しかし友人があんまり薦めてくるもんで、見てみたらめちゃくちゃ面白いじゃないですか。以下で簡単に8話まで見た感想を。 「東京に出る若者たち」 なぜ8話という中途半端なところで感想を書いておこうと思ったのか。「えくそだすっ!」は未だ完成をみていないし、番組編成を考えても区切りとしてはちょっと弱い。 しかし7話「ネコでリテイク」と、8話「責めてるんじゃないからね」には、僕が『SHIROBAKO』を見ねばならないと思った、重要なものが描かれているのです。それは、「地元」と「東京」の問題。 宮森あおいをはじめとするメインキャラクターたちは、上山高校アニメーション同好会出身。その同好会で苦楽を共にした面々が、実際にアニ

    灰色の地元、カラフルな東京―『SHIROBAKO』第8話「責めてるんじゃないからね」感想 - 宇宙、日本、練馬
    mercury-c
    mercury-c 2015/06/02
    “宮森たちと別の論理で生きる人々の姿を、物語の中に差し挟んだことの意味は、とてつもなく大きい、と僕は思う” 自分以外で宮森姉に言及してる人はじめて見た
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