舞城王太郎久々の単行本は「新潮」の連載に1000枚以上の書き下ろしを加えた舞城王太郎最長の叙事詩。ミステリ、SFといったジャンルを超越して人の意志へと全てを集約させていくさまは小説の力を存分に思い知らせる。長さに見合った価値のある作品だ。 舞城王太郎の小説は要約すれば非常にシンプルな主張へと回帰していくものが多い。そしてその主張は徹底してポジティブだ。今という時代において小説を書くということについて、小説の力を信じ、その可能性に全てを懸けることができるのは舞城王太郎ぐらいだろう。彼は一切小説の力を疑っていない。小説が読者の意志に影響を与え、読者が前を向けるということを確信しているのだ。 上巻は基本的にはミステリ仕立てである。とはいってもあくまでミステリの体裁を借りているのみで、そこで繰り返される推理の破壊と再生はミステリの範疇を超越していると言ってもいいだろう。物語はミステリという枠組みを
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