BSプレミアムで放送された『龍の歯医者』。人間の力ではどうにもならないように見える超自然現象を前に、それでもやりたいこととやるべきことをやろうともがく登場人物たちに胸打たれました。舞城王太郎が原案ですが、共同脚本の榎戸洋司作品の「いつか訪れるであろう死。それまでにやるべきことをやる。その想いの強さが力になる(『キャプテン・アース』25話)」というテーマからの直系という印象を持ちました。しかしそれ以前に、クライマックスが単純に映像として美しすぎた。 柴名の言葉に、「生きている以上、いつも何事かを決めるんだよ。食うのか食わないのか。戦うか。それとも死んじまうか」というものがありました。ベルは最後にはっきりと、「龍の歯医者にはならない」という決断をして、自分の足でブランコのもとに向かいます。ベルは結果的に“親知らず”の盗難を防ぎ、龍と龍の歯医者たちを守ったことになりますが、本人にその自覚はないよ