音楽とは、美しい何かを人と分かち合うこと 才能とは、情熱の量である。 もうずいぶん前になるが、ある新聞で内田光子(1948−)のインタビューを読んだとき、そう思った。 「とにかくピアノを弾くことが、好きで好きでたまらない。1000回生まれ変わったら、999回はピアニストになりたい」 「口紅1本持っていません。そんな時間がもったいないから」 といった発言に、強烈なインパクトを受けたのである。 世間ではよく「努力」が肝心、だという。けれど努力ができるのもひとつの才能なのだ。もっと言えば、「好きで好きでたまらない」ことをやっていれば、人間、それが「努力」だなんて思わないものである。好きで好きでたまらないことがあり、時間を忘れてそれに情熱を注げること。それこそ、本当の才能というものではあるまいか。 以来、「才能とは情熱の量である」と、思うようになった。 内田光子については、このコラ