◆「不思議な世界」 皆既日食は視覚だけでなく、肌でも感じられるものらしい。2006年3月にトルコで皆既日食を観測した国立天文台天文情報センターの片山真人助教によると「次第に空が暗くなり、気温が下がって肌寒くなる。やがて太陽が黒く染まり、あたりも真っ暗に。遠くの空は夕焼けのように赤く、この世のものとは思えない不思議な世界が広がる」という。 太陽の外層には100万度以上の大気のコロナがある。普段は太陽の輝きに隠されているが、皆既日食のときだけ肉眼で見える。 片山さんは「黒い球の周囲に白っぽいコロナが放射状に広がり、実に荘厳な眺めだった。最大の見どころです」と振り返る。 2番目の見どころは「ダイヤモンドリング」だ。皆既日食が終わると、太陽光が1カ所から漏れ、強く輝く。この光を宝石のダイヤモンドに、コロナを指輪に見立ててこう呼ばれる。 楽しみはほかにもある。普段は夜しか見えない星の日中観賞だ。日食