制作者(webmaster) 野嵜健秀(Takehide Nozaki) 公開 2001-08-27 最終改定 2008-01-03 言葉 言葉 言葉 森銑三 司馬遼太郎が小説で明治と云ふ時代を禮讚する一方で、明治時代の偉人を合理主義的に批判するのが現代の流行である。前者の立場は右翼の立場で、後者の立場は左翼の立場だが、何れにしても、時代の評價から人物の評價を引出してゐる點で、具體性に缺け、觀念的な禮讚や非難に陷る傾向を示してゐる。この種の評價の仕方に、我々は警戒する必要がある。 森銑三の人物評 森の人物に關する論攷は、文學的なものだが、それを單純に文學的と言つて切つて捨てて良いものであらうか。成程、所謂科學的・所謂實證的な研究でない事は認めて良い。しかし、だからと言つて、單純に文學的な評價を「認めない」のは、正當な判斷だと言へるだらうか。 森が西郷隆盛について書いた文章がある。 明治初年