1873年から1879年、中国の田舎でキリスト教を広げる活動をしたアデル・M・フィールドというアメリカ人女性がいた。本書は、アデルが宣教先の中国人女性たちの人生を聞き取ったものだ。 日本だと明治7年、徴兵令がはじまった年、この頃の中国人女性の人生と暮らしはどのようなものだったろうか。 庶民の人生を伝える書物はどの国でも少ない。日本でももちろんそうだ。私たちが読めるのは、権力を持つ人たちの記録が中心で、庶民の生活史がわかるものは貴重だ。その上この本は、本人たちが語った素朴なものをそのまま収集しているから、まるで友達の話のようにありありと聞ける。 本書には、15人ほどの女性が登場する。淡々と語られる人生は、とにかく不幸だ。日記のように普通に語られる内容に、当時の女性のおかれていた、信じられないくらい差別的な生活が人生だったことに気が滅入ってくる。 不幸の原因は、まず、すべての基本が「家」だとい