過去から現在に至るまで、あらゆる病を治そうと医師たちは奮闘してきた。しかし現代医療が生まれるまでの試行錯誤の過程で、人命を奪いかねない危険な治療法があまた考案され、それらがまかり通っていたのもまた事実だ。 ここでは、米国出身の医師リディア・ケイン氏とジャーナリストのネイト・ピーダーセン氏による共著『世にも危険な医療の世界史』(文春文庫)より一部を抜粋。1日で200件の切断手術を執刀した軍医や、一度に3人の命を奪った外科医の驚くべき手術とは——。(全2回の2回目/1回目を読む) かつての手術は清潔でも厳密でもなかった あなたは手術を受けたことがあるだろうか? まだの人も、そのうちに手術を体験する日が来るだろう。かつては極端な病状の患者を救う最後の手段だった手術だが、今ではごく一般的なものになってきた。手術を受けるか否かを選択できる場合も多い。医療器具は滅菌処理されていて、手術は痛くないし、担